縦横無尽にチーズを斬る
さて、物騒なタイトルですが、今回は意外に知られていない正攻法のチーズカットをご紹介します。
当たり前のことすぎて話題に取り上げてこなかったのですが、もしかしたら実は疑問に思っているかたもいるのでは?
さっそくいってみましょう。
まずはカマンベールチーズのような小さめの丸いチーズの場合。みなさん当然のように放射線状にカットしますよね。
大正解です。

でもどうして放射線状にカットするのか、ご存知ですか?
チーズ(※ここではナチュラルチーズのことを指します)は青カビチーズをのぞいて基本的に外側から中心へと熟成が進んでいきます。チーズをカットしたとき、外皮のすぐ内側はクリームのように柔らかいのに、真ん中あたりは弾力があってしっかりしている…ということがありますよね。中心は最後に熟成するので、“芯”と呼ばれるしっかりとした部分が一番最後まで残ります。芯がなくなるまで熟成する頃には、ナチュラルチーズは熟成がかなり進み、香りも味も強くなっているはずです。
そこでカットするときには、“この熟成の進んだ外側”と“熟成の進んでいない内側(中心付近)”がどのピースにも均等に入るようにすることで、どのピースも同じ風味になるように放射線状にカットするわけなのです。
チーズカットの基本は、この『どのピースも同じ風味になるように切る』がポイントです。
ではここで問題。
細長い二等辺三角形をしたブリーチーズは、どう切ったら『どのピースも同じ風味になるように』切れるでしょうか。
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正解はこうです。

いや全然どのピースも同じ風味になってないし!とつっこんではいけません。なるべく同じになるようにすることがポイントです。このように切れば、風味の違いは3種類しかできません(写真のクロミエの場合は2種類ですね)。
チーズの切り方の基本は『どのピースも“できるだけ”同じ風味になるように切る』ことです。ルールを忘れなければ、どんなチーズもすぐに切り方が見つかります。
四角いチーズも、円筒形の長いチーズも、円錐形や三角錐のチーズもみんな同じです。どの方向に熟成が進んでいくのかを考えて、そして切り方を考えます。
外側部分と内側部分(中心付近)がどのピースにも同じように入るようにする、それだけを意識して切ってみてください。
ちなみに、今日は丸ごと全部一人で食べきるんだ!という場合には、お好きなように、それこそ縦横無尽に切ってください。何ならいっそ切らないという方法も…。ワイルドです。